研究概要 |
本研究の独自性は、東京商工リサーチ編『中小企業経営者大事典』(みずき出版、1992年)における経営者の中から、その姓名によって女性経営者と推測される1,246名について、その企業と個人の両方について、全体的な属性を概観するとともに、より具体的なアンケート調査を行い、女性経営者の一般的な特質と経営理念を抽出・分析することであった。 現在、アンケート調査の結果は集計・分析中であって、その結果については『流通科学大学論集』(1997年9月)において発表の予定である。したがってここでは、アンケート調査より以前の予備的調査の結果について報告しておく。 1,246名の女性社長は1,334社の企業に就任している。それらの企業および個人の属性を簡単に言えば、次の通りであった。(1)売上高10億円から20億円未満の会社が最多であった(568社、42.6%)。(2)設立年は1960年から1969年が最多であった(405社、30.4%)。(3)従業員数は100名未満の企業が1,089社(81.6%)で最多である。(4)本社の所在地は、会社数でみれば東京都が172社で最多であるが、経営者数でみれば大阪府が160社で最多である。このことは、東京都に複数の会社の社長を兼任している女性経営者が大阪よりも多数存在していることを意味する。(5)女性経営者の出身地は、会社数でみれば東京都が113社で最多であるが、経営者数でみれば大阪府が97名で最多である。このことは、出身地でみれば大阪府が「女性社長の都市」であることを示している。(6)年齢は、60歳から64歳が249名で最多となっている(1994年10月時点)。最終学歴は、高等学校と旧制女学校で全体の過半数(58%)となっている。
|