研究課題/領域番号 |
07630121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 秀樹 (藤井 英樹) 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80173392)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1996年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 財務会計 / 会計原則 / 会計測定 / 金融商品 / デリバティブ / 取引 / オフバランス取引 / 金融派生商品 |
研究概要 |
簿記・会計に関する内外の古典文献にもとづいて複式簿記の基本的特徴を整理すると、以下のようになる。(1)複式簿記は、営利企業の財産と資本主関係を計算するシステムである。(2)そのために、複式簿記では、財産と資本主関係に影響をおよぼすすべての事象が継続的に記録される。(3)複式簿記では、その記録は、勘定記入、すなわち一定の勘定組織を前提とした貸借複記をつうじて実施される。(4)会計は、複式簿記を前提とし、あるいはこれを包摂する。 複式簿記は、以上のような機構をつうじて貨幣資本利益の決定システムとして機能しているのであり、さらにまた、貨幣資本利益が処分可能利益としての性質を有するかぎりにおいて、会計の利害調整機能を支える記録・計算システムとして機能しているのである。 ところが、デリバティブの多くは金額が未確定の経済事象をなし、したがって、かかる経済事象を会計的に認識するためには複式簿記の記録機能を後退させることが必要となる。計算構造的には、デリバティブの時価評価増差額の貸方処理が問題となる。すなわち、時価評価増差額を利益として処理すれば当期利益に処分不能の未実現利益が含まれることになり、会計の利害調整機能は阻害されることになる。これにたいし、時価評価増差額を資本として処理すれば貸借対照表資本の部に会計的意味の曖昧な金額が含まれることになり、複式簿記の心臓部をなす貸借対照表資本の部の「ごみ箱化」が生じることになる。 会計規制論の立場から結論づけるならば、デリバティブの会計的認識・測定は、それによって得られるベネフィットが、複式簿記の以上のような固有の伝統的機能の後退ないし阻害によって生じるコストを上回る場合にのみ、是認されうるであろう。
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