研究課題/領域番号 |
07630125
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学部, 助教授 (70186899)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 情報効果 / 残差分析 / 予測情報 / 経営者予測 / 浮動株 / 企業の所有構造 / 企業サイズ / 株式相互持ち合い |
研究概要 |
企業の経営者が証券取引所の要請によって公表する予測情報(経営者予測)が、株式市場にどのような影響力を持っているかを測定した。まず、経営者が公表する予測値には売上高、経常利益、当期純利益、一株当り利益があるが、分析では売上高と経常利益を一株当り数値に換算して使用した。また、株式市場のデータは日次の株価の変動割合を利用した。 経営者予測と株価の関係は米国でも多くの研究が行われているが、この研究ではわが国における特質を分析に組み入れることで新発見事項を求めようとした。日本の企業の特質として、銀行所有の株式割合が高いこと、企業間での株式の相互持ち合いの結果として浮動株の割合が低いこと、マーケットシェアが意志決定で重視されること、等をあげることができるが、現時点では前2者がどのように分析結果に影響しているかを明らかにすることができた。また、対比する目的で負債比率や企業サイズによる違いも分析した。負債比率は銀行の企業に対する影響力の代理変数、企業サイズは市場に存在する情報量の代理変数として使用した。 証拠は、株式の銀行保有割合、浮動株比率ともに情報が株価に織り込まれる過程に影響を及ぼしていることを示した。株式の銀行保有割合が高いほど、また浮動株比率が低いほど、経営者予測情報の公表後に生じる株価変動は小さく、その情報は事前に織り込み済みであると考えられる。理由として、株式の相互持ち合いや銀行による株式の保有は、それによって形成されたグループ間では、重要な情報が一般への公表前に共有されている、ということをあげることができる。このような現状は一般投資家保護の観点からは望ましくない状況であり、制度上での対応が必要不可欠である。
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