研究概要 |
Aを可換環k上の双代数,σ:A【cross product】A→kをその2-コサイクルとする。x^oy=Σσ(x_1,y_1)x_2y_2またはx・y=Σσ(x_1,y_1)x_2y_2σ^<-1>(x_3,y_3)によりAに新しい積が定義できる。コサイクル条件から積はともに結合的になる。前者をAの片側変形といい_σAで表す。後者を両側変形またはコサイクル変形といいA^σで表す。A^σはもとの余代数構造とあわせて双代数になる。ホップ代数のコサイクル変形はホップ代数になる。量子群で重要な役割を果たすDrinfeldの量子対D(H)は、H^<*cop>【cross product】Hのコサイクル変形と思える(従来の方法に比べ,この構成法は最も簡潔で分かりやすい)。これは,コサイクル変形の考え方が量子群論に様々な応用をもつであろう事を暗示する。今年度の研究において,コサイクル変形の一般論構築およびいくつかの需要な具体例(Sweedlerの4次元ホップ代数H_4,量子群U_p(sl_2)など)の計算に成功した。一方,片側変形_σAはk上のA-クレフト拡大,すなわちk上のホップ接合積と一致する。この観点を利用して,ホップ代数のコサイクル全体Z^2(A,k)の構造を調べた。またMiyashita-Ulbrich作用を用いて,両側変形A^σは_σAからある意味でじかに構成できることも分かった。なお,当初予定していた“ガロア対応"の研究については部分的な結果はあるもののまだ発表の段階にはない。次年度以降に続けたい。
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