研究概要 |
研究代表者は数年来リーマン面のショットキー意化理論を,そのp進版であるマンフォードの結果を発展させて数論的に再構成することを行っている.これは退化代数曲線の変形を有理整数環上のパラメーター空間上で構成することであり,伊原康隆,中村博昭氏によっても(特別な場合に)得られている.研究代表者はこの応用として次のことを示した. 1.局所体(複素数体またはp進体)上の代数曲線のテ-タ関数の普遍表示を導き,これを用いてp進体上の代数曲線のテ-タ関数からKP方程式(ソリトン方程式の一つ)の解を構成した.この方法は曲線が無限種数を持つ場合にも拡張され,局所体上のある種の無限種数解析曲線の微分形式,周期積分を構成し,p進体上の無限種数解析曲線のテ-タ関数がKP方程式の解を導くことを示した.この解の性質を調べること,特にその無限次元性を示すことが重要な問題である. 2.数論的一意化(変形)理論によって代数曲線のモジュライ空間の境界に近い所に自然な座標が入る.これを用いてタイヒミュラー空間上の保型関数(タイヒミュラー保型形式)を展開することにより,(露峰茂明氏の結果を用いて)テ-タ零値の積の平方根として表されるタイヒミュラー保型形式の定数倍で有理整数環上定義されるプリミティブな(すなわちどんな素数を法としても0でない)ものを決定した.また次数3のときにこのタイヒミュラー保型形式が,タイヒミュラー保型形式のなす環のジーゲル保型形式のなす環上の生成元になることを示した. また研究分担者によって次の結果が得られている. 3.多様体の退化に伴う熱核の変化の考察. 4.実2次体の類数公式の簡明な算術的表示. 5.射影空間内の楕円曲線のモジュライ空間の決定. 6.一般ベルヌイ数の簡明な表示と円単数との合同性.
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