研究概要 |
代数曲線符号の理論の成功を念頭におけば,これを高次元代数多様体に置き換えて同様な符号構成を試みることは自然な発想と思われる.しかし,高次元多様体ではその1次系に関して,曲線程には捕らえやすくはない.われわれは高次元多様体の幾何現象を通して符号を構成し,あるいは解釈できるのではないかというアイデアを抱いた。このために,3次曲面(cubic surface)は手ごろな実験場と言えよう.本研究では、正標数体上特有の3次極面の幾何現像を調べることから始めた. Xを標数p@10の代数閉体上のIP^3内の3次曲面としよう.良く知られているように,これはIP^2上の一般の位置にある6点P^1,...,P^6を通る3次曲線の族を用いてIP^2からIP^3への有理写像の像の閉包として記述でき,X上の完備1次系は原理的にはこれら6点の配置によって記述される筈である.従って,特徴的な配置からは特徴的な3次曲面が生ずるであろうと考えることは,そう不自然ではない. 当該科学研究費補助金による研究によって,われわれは次の結果を得た.p=2でXがFermat型,すなわち,その定義方程式がX^3_0+X^3_1+X^3_2+X^3_3=0に射影同値となるための必要十分条件はその6点のうちのどの点P_iも残りの5点を通る2次曲線のnucleusとなること.(註)p=2の時,既約な2次曲線はstrange曲線,すなわち,その接線はすべてある定点を通る.その定点をこの2次曲線のnucleusとよぶ.
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