研究概要 |
平成8年度の研究課題の一つは葉層多様体への葉層を保つR^p-作用についてその位相的性質を考察することであった。これに関してはGeometric Study of Foliations (World Sci. 社)に発表した論文で、コンパクト葉をもつ余次元1葉層に関してその摂動葉層を考え、コンパクト葉のオイラー数にある制限をつければR^P作用の軌道の次元は葉の次元の1/2未満になることを示した。 本年度の研究では、上記結果を一般化し、次の結果を得た。証明の戦略はR^P-作用から誘導されるベクトル場を対応させ、オイラー数と関連させることにある。π_i:N_i→S^1(i=1,2)をF_iをファイバーとするバンドルとし、ファイバーを葉とする葉層を考える。これらバンドルの切断に沿って摂動化させた葉層を境界で貼りあわせた葉層多様体を貼りあわせる向きによってそれぞれ(M(F1,F_2),F^<++>),(M(F_1,F_2),F^<+->)とする。このとき、 (1)F^<+->に関して、X(F_1)+X(F_2)≠2ならR^P-作用の軌道の次元は葉の次元の1/2未満である。 (2)F^<++>に関して、X(F_1)≠X(F_2)ならR^P-作用の軌道の次元は葉の次元の1/2未満である。 ここで、X(F)はFのオイラー数である。 また、葉層多様体の葉を保つ同相群のホモロジーについても新しい知見を得た。すなわち、ある条件の下で葉を保つ同相群は完全であることを示した。これに関しては葉を保つPL同相群のホモロジーをも含めて現在研究継続中である。
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