研究概要 |
1.可換Banach環Aが与えられたとき、AのGelfand変換像A^AをGelfand空間Φ_A上の連続関数のある種の性質で特徴付けることが大きな研究目的の一つであった。そこで局所コンパクト可換群上のBochner-Schoenberg-Eberleinの定理を考察すると、その特徴付けの候補者としてAの誘導環C_<BSE>(Φ_A)が自然に考えられる。このとき常にA^AはC_<BSE>(Φ_A)に含まれるが、Gelfand変換は一般に等距離的ではない。しかしAの特徴付けまで考えるとき、この等距離性:||x^A||_<BSE>=||x||_<A'x>∈Aの考察は大事である。実際、局所コンパクトHausdorff空間上の関数環はすべてこの等距離性を持っていることを検証することは容易であり、また、Bochner-Schoenberg-Eberleinの定理は局所コンパクト可換群上の群環はこの等距離性を持っていることも述べている。我々は更に、可換H^*-環、コンパクト可換群上のL^p-環(1<p<∞),任意の集合上のl^1-環、半群{k,k+1,k+2,……}上の半群環はすべてこの等距離性を持つことを証明した。一方これらの環はすべてA^A=C_<BSE>(Φ_A)が成り立つので、完全な特徴付けが得られたことになる。またA^A自身の特徴付けに関しては、擬位相という新しい概念を導入して、現在研究が進行中である。 可換Banach環A上のBanach moduleXが与えられたとき、XのGelfand変換像X^A及びXのmultipiliers M(X)のGelfand変換像M(X)^AをΦ_A上のcontinuous sectionsのある種の性質で特徴付けることも大きな研究目的の一つであった。この目的のためには、Xの誘導モジュールII_<BSE>X_φを考察することは自然であり、M(X)^A=II_<BSE>X_φが満たされるとき、XをBSEと呼ぶ。我々はGがコンパクト可換群であるとき、L^1(G)上の全てのBanach modulesはBSEであることを証明した。またX=L^q(G)(1<q<∞)をL^p(G)(1<p<∞)上のBanach moduleとみたとき、X^A=II_<BSE>X_φであることも証明した。これによって、L^p(G)(1<p<∞)上の任意のBanach moduleXがX^A=II_<BSE>X_φであるかどうかが問題として残される。
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