研究分担者 |
松本 裕行 岐阜大学, 教養部, 助教授 (00190538)
荻 信隆 岐阜大学, 教養部, 助教授 (10021792)
室 政和 岐阜大学, 教養部, 教授 (70127934)
志賀 潔 岐阜大学, 教養部, 教授 (10022683)
尼野 一夫 岐阜大学, 教養部, 教授 (40021761)
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研究概要 |
M.S.BaouendiとC.Goulaouicは,フックス型偏微分作用素に対して実解析的関数の範囲で,特性的初期値問題の一意可解性及びHolmgren型の一意性定理を示した.我々はこれを受けて,解を考える関数の範囲を実解析的関数から広げることで,フックス型偏微分作用素より広いクラス(ニュートン図形を用いて定義される)の作用素に対して,特性的初期値問題の一意可解性が成り立つことを既に明らかにしていた.これらは不確定特異点を持つ作用素を含んでおり,不確定特異点を持つにも関わらず,このクラスの作用素はフックス型作用素と似た性質をある程度もっている.特に,Holmgren型の一意性定理も成立している.この結果から,このクラスの作用素に対しては,十分滑らかな零解は存在しないことが従うが,(Schwartz)超関数の零解は存在する可能性があり,実際,フックス型作用素の場合に既に得られていた結果の自然な拡張の形で(証明法は違うが)超関数零解の存在・非存在のための条件が得られる.今回の研究では,従来この様な超関数零解の存在を示すために付けられていた条件をはずすことができた.これはフックス型作用素に対しても新しい結果であり,ここで考えているクラスの作用素については,超関数零解の存在・非存在が完全に決定されたことになる. これらとは少し手続が違うが,従来のフックス型作用素の研究で除外されていた場合(特性指数が非負整数になる場合等)の基本解や初期値問題の解の構成に関して,新しい視点が得られ,新しい関数群をうまく定義することで,この様な場合も扱えることが分かってきた.この考えはさまざまな場合に適用できる可能性があり,この点については,さらなる研究が望まれる.
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