研究分担者 |
田村 要造 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50171905)
中野 実 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00051607)
下村 俊 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00154328)
田中 洋 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70011468)
菊地 紀夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80090041)
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研究概要 |
「非線型解析学における諸問題の研究」と題し,非線型現象の数理解析を目的として研究をおこなってきた. 流体の方程式においては,非圧縮性ナヴィエ・ストークス方程式のいわゆる表面波の存在が,表面張力の作用を考慮に入れた時一般的状況の下で時間局所的に,平衡状態のまわりでは,表面張力の作用があるときもないときも,時間大域的に示された.ここでのキーワードは表面張力の効果で,この効果は解を構成する際には強圧的でない境界条件を与えるため,偏微分方程式の一般論が適用できず,ラプラス・フーリエ変換を用いた直接的構成法が必要となる一方,時間大域解に必要なア・プリオリ評価を導く差異にはオイラー座標系のままで求めるというアイデアはいるが,境界の滑らかさが上がるためむしろ易しくなる. 流体の方程式におけるもう一つの結果は渦糸方程式に関するものである.軸流を伴う時も伴わない時も時間大域解が一意に存在し,データーの滑らかさが増せば解の滑らかさも増し(軸流を伴う時と伴わない時では解の属す空間は異なる),ジェットの強さが0に近づくと軸流を伴う渦糸方程式の解は軸流を伴わない渦糸方程式の解に近づくことが証明された.この結果の証明において重要な点は,渦糸方程式を放物型偏微分方程式で近似する際に付け加える放物型正則化項として4階微分を含む非線型項を採用することにある.この項の働きによりア・プリオリ評価が沢山得られ,従って上記の結果が導かれる. 変分問題においては,ターゲット多様体の境界条件に制限をつけた(ターゲット多様体が球面ならば北半球に境界値をもつ)時,調和写像の滑らかな勾配流が構成された. 確率論関係では,ドリフトのあるブラウン運動を媒質とする環境の中の拡散過程の漸近挙動が解明された. その他にも合流型超幾何関数に付随した偏微分方程式の解の接続公式,常微分方程式に対するWKB法等等についての結果が得られていて,現在投稿中のものもあり,投稿準備中のものもある.
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