研究概要 |
半単純対称空間上の不変固有超関数の接続公式の問題、即ち、 [問題]各カルタン部分空間(の正則元の全体)の上で与えられた関数が、対称空間全体の不変固有超関数の制限となっているための条件を求めよ。 について、我々は従来の研究で、いくつかの半単純対称空間の具体例に対して必要十分条件の候補を求め、その条件が必要条件であることを証明した。この証明には、高階の対称空間上の不変積分を1階の場合に帰着させる原理が不可欠であった。 本年度の研究で、我々は、 1.不変積分に関する諸定理を、より一般の半単純対称空間に対し、精密に証明した。このことにより、より広い範囲の対称空間に対する(我々の方法による)研究に道が開かれた。 2.従来の対称空間と複素化が同型であるU(p,q)/(U(r,s)×U(p-r,q-s))に対して、([問題]の)必要条件に関する考察を行った。 1、2については、既に論文の作成に着手した。早急に完成させ発表する予定である。 推定した条件が、十分条件であるかどうかについてはまだ明らかになっておらず将来の課題として残されることとなった。今後の研究計画としては、このことに加え、今まで我々が得てきた結果をルート系の概念を用いて統一的に書き直すという作業を完成させ、さらに広い範囲の半単純対称空間に対して研究を進めたい。
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