研究概要 |
シュレディンガー作用素を含む擬微分作用素に対する,固有値の分布関数の漸近公式を得るための一方法として,池原のタウバ-型定理の応用がある.特に,楕円型作用素に対する分布関数の漸近展開の第1項はこの定理によりうまく解決出来る.しかし,第2項以下を求めるためや,より一般の作用素に対しては,このタウバ-型定理を拡張する必要がある. 1.ヒルベルト空間上の作用素Pの複数巾P^<-s>のトレースZp(s)の最初の特異点が単純な極である場合に池原の定理を拡張し,それを,シュレディンガー作用素P=-Δ+V(x)で,lim_<|x|→∞>V(x)=∞を満たす場合の固有値の漸近公式に応用した.とくに,剰余項の評価に利用出来る.(Tokyo J. Math.) 2.Zp(s)の最初の極が単純とは限らない場合に,池原の定理を拡張した.この事により,ポテンシャルV(x)がV(x)=(1+|x|^2)^p|y|^<2q>の形のシュレディンガー作用素の固有値の漸近公式を,剰余項を含めて得ることができることを示した.(Acta Math. Hungarica) 3.また,2の拡張の応用として,シュレンディンガー作用素P=-Δ-V(x)でポテンシャルがlim_<|x|→∞>V(x)=0の形をしたものを考えた.この場合は固有値がすべて負軸に現れるがその分布の漸近公式を剰余項付きで得た.
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