研究概要 |
研究代表者西原はEをC上の局所凸空間とするとき,E上の指数型のガト-整関数とE上の位数1の正斉次ガト-多重劣調和関数との関係を調べ,次の結果を得た:E上の位数1の正斉次ガト-多重劣調和関数Pに対して,E上の指数型ガト-整関数uが存在し,P(Z)=lim^* lim(loglu(tw)1/t)が成り立つ。ただし,lim^*はEの有限開位相による極限を表わす。この証明において,無限次元射影空間の擬凸領域の特徴づけが重要な役割を演ずる。また,西原は無条件シャウダー基底をもつフレッシュ空間Eの領域Dの各点において整級数展開可能な正則関数の解析接続について研究し次の結果を得た:Dを原点を含むラインハルト領域とするとき,次の条件は同値である。(1)Dは0のまわりの整級数の収束領域である。(2)Dはmodularly decreasingで対数凸である。(3)DはDの各点で整級数展開可能な正則関数の存在領域である。(4)Dは擬凸である。この結果はC^nのラインハルト領域においては,よく知られた結果のフレッシュ空間への一般化である。研究分担者川畑は古典力学系として核四重極子の系にパルス外場を摂動として加えた運動を考察した。物理系を記述する常微分方程式をキック衝撃の周期に関して積分して得られるPoincari mapを用いて周期解の安定性について解析した。研究分担者糸川は完備非コンパクト正Ricci曲率のリーマン多様体の中の極小超曲面はスカラー曲率が下に有界なる限り,非有界になることを示した。また,糸川は小林亮一氏と共同で,正則断面曲率が12K_<hol>>0とピンチされたコンパクトケーラー多様体の内,P^n(C)の体積に関する剛性を示した。また,糸川はMを非負Ricci曲率の完備非コンパクト多様体とするとき,Mの体積増加,直径増加とMの幾何学的性質との関係について調べた。
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