研究概要 |
1つの論理を記述する演繹体系はいろいろあるが,部分式特性をもつような体系を利用するとその論理の性質を調べやすい.したがって各論理に部分式特性をもつ体系を与えることはきわめて有益である.そこで本研究では研究代表者の以前からの研究に引続き,様相論理K5をはじめとするいくつかの論理に対して部分式特性をもつ体系を作り,これを利用してそれらの論理の性質を調べ,さらに他分野への応用について考察することを目標とした. この1年間の研究にかかわらず,第一の目標としていた様相論理K5に対して部分式特性をもつ体系を作る課題は達成されなかった.今後の研究では,論理式に現れる様相記号を他の様相記号の作用域に含まれる出現とそうでない出現とに区別し,これに応じて部分論理式の概念を若干修正する必要があると思われる. 主目標は達せられなかった以下の結果を得た.最小量子論理に対する西村泰一の体系においてある一つの推論法則は不要であり,その結果カット除去性・部分式特性を楽に示すことができることを示した(高野1995).条件論理に対してカット除去性・部分式特性をもつ体系を作った(投稿準備中). 研究分担者も精力的に研究を行った(古谷1994, 1995; 垣水 1996).これらの成果を本研究の観点から見直すことは継続的な課題である. 本研究に先行する研究代表者の成果の,計画調書に述べた経済学者・論理学者共同によるゲーム理論への応用は,Studia Logicaに記載されることになった.
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