研究概要 |
本研究計画は、ストレンジネス-2核研究のキーポイントとなるカスケード・ハイパー核の構造と生成に焦点を合わせたものである。 我々は、鉛(^<208>Pb)をターゲットとした(K^-,K^+)前方反応断面積を計算した。この反応は、運動量移行が大きく、角運動量の大きいカスケード核状態を選択的に励起する。この反応を用いれば、幅の狭いカスケード核状態が観測できる。これらのピークは、カスケード粒子と芯核の間の平均場ポテンシャルについて貴重な情報を与えてくれる。 我々は、軽いダブルラムダ・ハイパー核を生成する有効な方法も提案した。それは、カスケード粒子をヘリウムの原子軌道に止め、脱励起させる方法である。原子カスケード過程の計算コードを完成させて吸収比を求めたところ、カスケード粒子のs軌道吸収が25%、p軌道吸収が73%という結果を得た。そのとき、液体ターゲットで、静止Ξ^-当たり約15%の大きな割合でヘリウムの二重ラムダ・ハイパー核が生成されることがわかった。さらに我々は、上記の考えを発展させて多種のダブル・ハイパー核の生成法を提案した。^9Be(K^-,K^+)反応でカスケード・ハイパー核を生成すると、それはやがてラムダ・ハイパー核に転換する。その際、転換反応Q値が^9Beのアルファー・クラスター破壊に使われるため、ダブルラムダ核は効率良く生成される。多種のハイパー核の同定には、それらの弱崩壊に伴う"特性"パイオンを使う。これにより、ダブルラムダ核の存在形態を大局的に捉える第一歩が可能となる。
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