研究概要 |
当研究の目的は,対称性の助けに頼らないゲージ・湯川セクタ統一の可能性を追究することで,特に,結合定数還元原理に基づくゲージ・湯川セクタ統一理論を考察した.この方法には,対称性に基づく統一方法に潜在している対称性の破れという本質的な問題がないのが特色であり,この研究で,結合定数還元原理に基づくゲージ・湯川セクタ統一理論の現実性が明らかにされた. 特に,以下の様な事に関する研究が重点的に行われた.ゲージ・湯川セクタ統一理論で予測されるボトムクォークとトップクォークの質量とFERMILABの実験結果の一致の確認,陽子崩壊に関する現象論的考察を基にした,パラメータの許される領域の制限,ゲージ群が拡張された超対称ゲージ・ユカワ統一模型の考察,既知の超対称ゲージ・ユカワ統一模型の実験値的選別可能性,対称性ゲージ・ユカワ統一と弱電磁理論のゲージ対称性の動力学的破れとの整合性,超対称性の軟らかい破れの項のフレーバー構造に関する考察,超対称性理論での陽子崩壊と軽いニュートリノの存在の関係. これらの研究の結果は,数々の権威ある国際会議で発表され,標準理論の湯川セクタの構造の起源を解明する一つの方向性を与えるものであると認識されるようになった.更に,結合定数還元原理に基づくゲージ・湯川セクタ統一に超対称性を破るセクタを加え,超対称性を柔らかく破る項の統一が図られ、統一された超対称性を柔らかく破る項はユニバーサルな総和則を満たしていることが見い出された.しかも,それがある仮定の下で4次元超弦理論のそれと一致していることが判明し,平成10年度以降の研究課題の動機となった.
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