研究概要 |
(1)中重核の8重極多フォノン状態の解析を目的としたダイソン型ボソン写像法の計算機プログラムを完成させた.(約40,000行のソースプログラム). (2)このプログラムを^<146,148>Gdの8重極多フォノン励起状態の解析に応用し,精密解析の結果,中性子対モードと8重極粒子-空孔モードのcouplingが,^<148>Gdにおける8重極遷移のenhancementに本質的寄与をすることが明らかにした. 本成果は論文“Two-Octupole-Phonon States in ^<146,148>Gd by K.Takada and Y.R.Shimizu",Prog.Theor.Phys.95,No.6(1996)1121-1143に発表した. (3)プログラム開発の過程で“簡易型ハッシュ法"を考案し(高田健次郎:「数値計算にハッシュ法を応用する」,九州大学大型計算機センター広報,Vol.28(1995)129-135),これが巨大メモリーを必要とする大規模数値計算に極めて有用であることを発見し,この方法により従来大型計算機を用いても殆ど不可能であると思われた巨大数値計算を高速パソコンで可能とした. (4)上記のプログラムは粒子-空孔表示であるので,粒子数保存は厳密に成り立っているが,閉殻近傍の原子核にしか適用できないという適用範囲の狭さが欠点である.この欠点を解決し,閉殻から遠く離れた領域の核に応用できるよう,ダイソン型ボソン写像法の準粒子表示での計算機プログラムのalgolithmの開発を行った.プログラムの基本的部分(約30,000行のソース)は完成したが,まだ実際の原子核に応用するに至っていない.今後の課題である.
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