研究概要 |
1.Si(100)表面を模型化した,制限SOS(solid-on solid)模型,およびその2状態近似模型である2次元イジング模型について,数値くりこみ群の方法,ランダム・ウォークの方法,によりステップ張力,ステップ・スティフネスを計算した.最近のLEEM(low energy electron microscopy)とSTM(scannning tunneling microscopy)によって測定された結果と10%程度の誤差で一致し,統計力学的手法の有効性が示された. 2.2次フラストレート・イジング模型の1次元界面諸量を厳密に計算し,界面の準リエントラントなふるまいを確立した.応用として,外場と相互作用が競合する,ウルツ鉱{101^^-0}面2次元格子気体モデルのステップ諸量を求めた.最近の,氷のラフニング転移温度測定値を用いて,ミクロなキンク形成エネルギーを見積もった.また,それを基に氷の表面張力を計算した結果,1950年以降様々な方法で測定された値の中央値に相当する値が得られた. 3.第一近接相互作用のみからなる,正方格子2次元イジング模型,制限SOS模型およびBCSOS(body-centered cubic solid-on-solid)模型についてモンテカルロ・シミュレーションを行い,相転移温度近傍の,単一ステップゆらぎ幅,「デフォメイション」の分布関数,「デフォメイション」のn次モーメント,d_<n2>,を計算し,バルクの相転移との関係を調べた.d_1がバルクの相転移の指標となることを発見し,2次元イジング模型の相転移温度,およびBCSOS模型のラフニング転移温度(厳密解)を3桁の精度で再現した.この方法で求めた制限SOS模型のラフニング転移温度は,数値くりこみ群による最近の結果と一致した.
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