研究概要 |
複雑系に存在し得る(1/fゆらぎのような)共通の特徴を探索するために,最も簡単な非線形格子のモデル,x^4ポテンシャルの1項のみからなる4次純非線格子を考え,解析した.数値的方法によって得られたこの格子の解は時間の経過と共にカオス的になり,そのパワースペクトルの分布は1/f分布に漸近して行く.さらに粒子の軌道は2N次元位相空間(Nは粒子の個数)で等滞在確率をもつことを既に示した. 本研究プロゼクトは4次純非線形格子の力学を解析的側面からも調べることを目的としている.モデルの方程式は格子定数を0とした極限で,非線形波動方程式r_U=(γ^2γ_X)_Xによって近似される.ある特殊なしかし物理的に妥当な広いクラスの初期条件に対して,この近似方程式の解析解が得られた.解析解は次のような性質をもつことが示された:それは一般に時刻t_<V min>の後に領域μで多価になり,この領域μは時間の経過と共に拡大して行く.t<t_<V min>のとき,解析解は全領域で一価であり,非線形格子の数値解と離散化誤差の範囲内で一致し,t>t_<V min>のとき,一価の領域で数値解と一致する.エネルギ積分の定義を拡張し,領域μにおいても適用できるようにしたものは,μを含めた全領域で保存されることが示された.数値解はμでカオス的振舞いを示すものと考えられる. さらに数値的方法を一次元の互いに衝突する粒子の系に適用して,その速度分布が1/υの形に漸近して行くことを示した.
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