研究概要 |
伸縮計や傾斜計による地殻変動連続観測のデータは,通常,テレメーター装置を用い,NTTの専用線で収録される.伸縮計や傾斜計の検出部は,テレメータ装置から離れた観測坑道内やボアホール孔の内部に設置されており,テレメーター装置との間に,長い信号ケーブルがある.信号ケーブルが長いために,電力線やNTTの回線を介して落雷に伴う誘導電流が流れ,検出部の電子回路が故障する. この故障を少なくするために,検出部においてアナログ信号をデジタル信号に変換しテレメーター装置まで伝送する,耐雷性のアンテナカップリングによる伝送方式を開発した.その方法は,検出部で作成したデジタルデータをシリアル信号に変換し,コイルでできたアンテナを介して微弱電波として送出し,その電波をコイルでできたアンテナで受信し,同軸ケーブルを信号線にして伝送する方式である.信号線がコイルでできたアンテナで分離しているため,誘導電流がケーブルから電子回路に直接流れ込むことがない,しかも,誘導電流はコイルを避ける性質があり,避雷効果が増す.この方式は世界で始めての方式で,3年に及ぶ観測でも長期安定性が確かめられた.また,消費電流が少ないこともこの方式に利点である.
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