研究課題/領域番号 |
07640563
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日比谷 紀之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80192714)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 内部重力波 / 砕波 / 乱流拡散率 / 非線形相互干渉 / エネルギー・カスケードアップ / 内部波平衡スペクトル / 近慣性流 / 大気擾乱 |
研究概要 |
海洋中のスケールの小さな乱流拡散過程、特に、等密度線を横切る方向の混合は、海洋大循環をもコントロールしている重要な物理過程である。内部重力波の砕波は、その主要な役割をはたしているが、海洋の中・深層におけるその見積りはなされておらず、このため、大循環モデルには大きな不確定要素が残されている。この乱流混合のエネルギーは、低波数域で大気擾乱などにより供給され、内部重力波の非線形相互干渉を通じて波数スペクトル空間を乱流スケールなでカスケードアップすると考えられている。したがって、このエネルギーカスケードアップ過程が明らかになれば、海洋の中・深層における乱流混合率を、大気擾乱など内部重力波の励起源の情報をもとに推定することが可能になる。以上の観点から、本研究では、まず、海洋上を伝播する大気擾乱による内部重力波の励起機構について数値実験を行い、大気擾乱の伝播に伴って、海洋上層で強い近慣性流(ω〜f)が誘起されるとともに、それらの非線形相互作用により、鉛直低モード・周波数ω〜2fの内部重力波が生成されることを明らかにした。さらに、これらの外力を想定し、Hibiya etal.(1996)によって得られた内部波平衡スペクトル内の鉛直低モードの慣性域(ω〜f)、および、鉛直低モード・周波数ω〜2fの領域に、それぞれスペクトルのバンプ(擾乱)を初期に与え、その後のスペクトルの時間発展を調べた。その結果、鉛直低モードの慣性域に擾乱を与えても、鉛直高波数域へのエネルギーカスケードアップはほとんどおこらないのに対し、鉛直低モード・周波数ω〜2fの領域に擾乱を与えると、非線形相互干渉によって、鉛直高波数の近慣性域へとエネルギーが輸送されるため、海洋の中・深層において鉛直スケールの小さな近慣性流シア-が強まり、これに伴って形成された限界層に内部重力波が吸収されることで、乱流混合が活発におきることが明らかにされた。
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