研究概要 |
2年間にわたって行った加茂湖の湖底地形ならびに湖底堆積物の研究は以下の方法によった.一つは音波探査装置(SH20ならびにユニブーム)を用いて,幾つかの測線に沿う湖底の地形ならびに地質構造を解析した.第2は新潟県ならびに工業技術院地質調査所が実施した湖底ボーリング資料について,珪藻と花粉を中心に分析した.その結果,以下のことが明らかになった. 湖底地形:加茂湖は湖岸が急斜面をなし,湖央はなだらかな平坦面をなす舟底型の地形をなす.同時に,湖の南部の東岸に沿って,水深9mを越す細長い構状の凹地が存在する.この凹地の形成要因は明確ではない.この最深部を除くと,湖南は7〜8mの水深の平坦な地形が広く分布する.一方,湖北は北から南へ4〜7mへと穏やかに深くなる. 湖底下の地質構造:湖南は広く散乱層に覆われ,地下の構造は明らかではない.湖中央の椎崎と樹崎を結ぶ線以北の湖北部ではSH20で音響基盤となる砂体が湖底に現れている部分と,それを取り囲んでその基盤を泥質堆積物が覆う部分が広がる.ユニブームによるとこれらの砂体は南東からのプログラデーションによって形成された地層であることが明瞭である. 沖積堆積物の分布と環境変化:花粉ならびに珪藻化石の分析により,湖北部中央では湖底下約37m付近に沖積層の基底があることが明らかになった.その下位数mは陸成層であるが,花粉分析によると.それらは明らかに第三紀型の花粉であり,中期更新世の段丘堆積物相当そうである可能性が強い.南東からプログラデ-トする砂体は1万年前以降,海水準の上昇に伴って形成された砂州の堆積物である.
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