研究概要 |
樅ヶ崎南方,約400mほどの湖心部,水深35.1mの湖底において,湖底表面から35.3mの深さまでのオール・コアの採取をおこなった.最大の目標として4万年前前の「赤スコ」火山灰の上面まで到達できた.しかし,ボーリング機械の不調などにより,湖底より3m〜15mの間については回転をかけたドリリングで採取したため,試料に掘削による乱れが生じて,解析に問題を残した.乱れていない部分の回収率は約62%であった. 採取した試料については,半裁にした上で肉眼記載を行い,1cm単位で含水率の測定,1cmごとの有機分析様の試料分取,5mm厚のソフテックス用試料採取をおこなった.また,火山灰の肉眼による識別も試みた.これらの試料を用いた,火山灰,粘土鉱物,粒度,帯磁率,花粉,有機物などの各種の分析は,計画通り今後順次実施していく予定である. 予察的な結果としては,最上部付近の火山灰についてみると,太田切川火山灰の上位に3つの火山灰層が確認され,上位より,高谷池火山灰グループのKG-b,KG-c,KG-dに対応する可能性が示唆される.これにより,堆積物の年代決定の精度向上が期待できる.含水率は全試料について測定を終了しているが,その解析をいま進めているところである.かさ密度の高い層準が多数確認されており,それらの新しい時期のものは,歴史地震に対応する可能性が高く,地震や火山活動の頻度の解明が期待できる.3千年前から1万年前の間は,前述のように試料の採取状態がわるく,充分な解析が期待できないが,その部分は他の試料が補っていく予定である.
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