研究概要 |
本邦石炭系からはViseidiscus,Planoarchaed-iscus,Archaediscus,Paraarchaediscus,Pla-nospirodiscus,Neoarchaediscus,Asteroarc-haediscus属のArchaediscacea上科有孔虫類の産出が確認され、最上部ViseanとMid-Carboniferous境界の2層準で群集構成要素の変化が認められた。また、検討したイランセクションのデータや多くの文献情報から判断すると、前期・中期Viseanの主要構成要素はPlanoarchaediscinae亜科やKasachstanodiscinae亜科の属であり、中期/こうきVisean境界においてArchaediscacea上科有孔虫類の群集組成変化が認められる。 古生物地理学的には、Viseanおよび前期Serpukhovianの群集は、世界各地のセクションでその属構成においては共通性が高く明瞭な地域性が認められないのに対し、上部Serpukhovianの群集ではEosigmoilinaやBrenckleinaといったsigmoidal coilingを持つ属の産出が東テチスやパンサラッサ地域では他地域に比べ少なく、またMid-Carboniferous境界以降ではArchaediscacea上科有孔虫類自体の産出が減少して、その産出の主体が徐々にロシア卓上地とその周辺地域に限られていくようになるといった傾向が認められる。これは、Serpukhovian後期におこったローラシアとゴンドワナの衝突(パンゲアの形成)によって、それまで低緯度地域の浅海性群集の自由な交流を可能にしていたCircum-equatorial Seawayが縮小・閉鎖し、その結果浅海性群集の交流が抑制され、地域性がより高まったことが原因と考えられる。
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