研究概要 |
本研究では,ペルム紀後期の放散虫群集を明らかにすることを目的とした.当初は四国秩父帯のリン酸塩ノジュールから産する群集を中心として研究を進めた.それに平行して平成7,8年度の国際学術研究で,ニュージーランドにおいてペルム紀/三畳紀境界を含む連続露頭を見いだし,南半球でのペルム紀後期放散虫群集を得た.これらの試料をもとに主に得られた成果は以下のとおりである. ・ペルム紀後期における古生代に特徴的なAlbaillellaria亜目の分類学的検討を行い,内部骨格構造からNeoalbaillella属,Albaillella属,Pseudoalbaillella属,Follicucullus属の系統関係を考察した.これはTakemura and Yamakita,in prep.として投稿準備中である. ・リン酸塩ノジュールに含まれる所属不明の放散虫類について,検討を加えた.Nassellariaに類似するものや非対称の大型の放散虫と思われるものなどが含まれ,いずれも新属・新種となる.内部骨格の観察にまだ成功していないため,現在も検討中である. ・ニュージーランド北島,ワイパパテレーン北部から産したペルム紀中・後期の放散虫群集を報告し,玄武岩,チャート,珪質泥岩の連続露頭が見られるArrow Rocksの層序を報告した(Takemura et al.,in press).特にArrow Rocksの石灰岩レンズからは,保存良好なペルム紀中〜後期放散虫化石を産した. ・上記Arrow Rocksの石灰岩レンズから産したAlbaillellariaについて記載し,Follicucullus属の新種2種を記載した(Takemura et al.,投稿中). この他,Arrow Rocksの珪質泥岩からは,三畳紀前〜中期放散虫群集が産出し,これらについても現在論文を投稿準備中である.Arrow Rocksの黒色頁岩層はペルム紀/三畳紀境界と考えられ,古生代末の大量絶滅の環境を考える上で極めて貴重である.
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