| 研究概要 |
本研究は詳細な結晶構造解析結果とラマン散乱等の分光法的データを結合することにより最も重要な鉱物の一つである石英とその同形物質における相転移前後の構造変化、転移時の格子不安定化の機構、物性の揺らぎ等について、総合的な観点から明らかにする事を目的として計画されたものである。2年間の研究期間において、必ずしも全ての計画(特に分光的法データの集積)が達成されたわけではないが、格子の動的側面を明らかにするための多くのソフトウエアの開発と石英型物質の中から既に得られていた石英以外のベルリナイト(AIPO_4)とGaPO_4についての詳細な結晶構造研究を行った。ソフトウエアとしては格子力学計算と分子動力学(Molecular dynamics, MD)計算結果を解析するための計算機プログラム群CRYSTALを作成、整備し、主としてブルリナイトについての計算及び解析を行った。
CRYSTALは5つのプログラムユニット,SDSTR,MDPDF,ORDRP,DTRANS及びNOMODEからなり、夫々MD計算結果を入力し、散乱強度と動的構造因子の計算、原子の確率密度関数と平均2乗変位の計算、転移に伴う秩序変数の評価、ORDERPの出力を図示、表示するための加工、及び基準モード解析の計算を行う。ベルリナイト(AIPO_4)に関するMD計算結果をこれらの解析用プログラムで解析した結果、転移に無秩序型が関与する事が示され、本研究代表者によるX線解析結果や、石英について他の研究者によって最近発表されたHyper Raman散乱や赤外吸収の研究結果とは異なる見解をサポートする事になった。現在更に、MD計算信頼性を高めるため、集積時間を延長して、再計算を続行中である。
|
