二重配向制御による立体動力学的研究をおこなうためには、配向電場及び磁場の検出系への影響を受けることなく、測定を行う必要がある。これには、配向反転型配向分子(原子)線の発生が有効と考えられる。上記目的にために、六極不均一電場により状態選別した配向分子線の配向状態を反転させるとスピンフロッパーを試作し、配向反転型配向分子線を生成することを試みた。試作したスピンフロッパーの正確な性能評価を行うに先駆けて、配向依存性が分かっている(CF_3端で反応活性)CF_3H+Ar^*→CF_3^*+H+Ar反応系に適応してみた。その結果、スピンフロッパーの使用によって反応性の配向電場依存性が逆転することが分かった。この予備的研究により、反転用電場の極性を高速で反転させることで配向状態が反転することを明らかにした。試作したスピンフロッパーが機能することが分かったので、現在、反転した配向状態を定量的に評価するため、配向状態を検出するための不均一電場型検出器の準備を進めている。また磁場型のスピンフロッパーも現在試作中であるが、大電流による加熱が問題となっており現在改良を試みている。
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