二光子共パラメトリック四波混合過程とレーザー誘起自然放射増幅過程を一酸化窒素を非線形媒質とするバルクの系において確認した。 [1]二光子でC^2Π状態を励起した際、C^2Π-A^2Σ^+遷移に対応する近赤外光とA^2Σ^+-X^2Π遷移に対応する紫外光がレーザー同軸方向に伝搬することを確認した。両波はいずれもほぼ100%の偏光度を示し、その偏光面はレーザーと平行である。また両波の時間プロファイルがレーザーパルスとのそれとほぼ同じであること、また紫外光がFranck-Condon的な振る舞いを見せないことから、紫外光は赤外ASEがレーザーの二光子コヒーレンスとカップルした結果発生するものと断定された。紫外及び近赤外光に対する励起スペクトルはレーザー分解能内で一致しており、またピーク形状波ほぼレーザー線幅で制限されておりなんらの非対称性も見られないことから、新規なレーザー分光法として発展する可能性がある。 [2]自然放射増幅光(ASE)を利用するレーザー分光法を開発した。具体的には、レーザー二重共鳴法によって状態を中間状態とし高リュードベリ状態の単一振動回転準位を励起する。このとき、励起準位と他の低いリュードベリ状態の間に反転分布を形成することから、近赤外領域においてそのエネルギー差に対応するASEを発生することを見いだした。LIASE分光法を、蛍光量子収率の低い前期解離状態の検出に応用したところK^2Π、S^2Σ^+状態などこれまで蛍光が報告されていない状態を信号対雑音比1000以上で検出することに成功した。このことはASE発振が弱い前期解離過程と競合していることを示すもので、ASEを蛍光、りん光に次ぐ第3の放射緩和過程として考慮する必要があることを提案した。
|