研究概要 |
1.2-ブロモチオフェンおよび2-ブロモフランにPd触媒の存在下、4-トリメチルスタニルピリジンを作用させ、2-ピリジルチオフェンおよび2-ピリジルフランを合成し、これをリチオ化し、CuCl_2を作用させ、5.5'-ビス(ピリジル)ビチオフェン(1)および5.5'-ビス(ピリジル)ビフラン(2)を合成した。 2.1および2にヨウ化メチルを作用させて、それぞれからN,N'-ジメチルジカオン(3)および(4)を合成した。 3.3および4は400-480nmに強い吸収極大を示し、ヘテロ五員環一個の場合よりも70nm長波長シフトしている。 4.3および4の電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリー法で調べた結果、3は-0.84V,4は-0.91Vで可逆的に二電子還元された。ヘテロ五員環一個の場合より還元電位は低下するが、可逆性は非常に良い。 5.3および4の蛍光発光スペクトルを測定し、共に強い蛍光発光体である事を明きらかにした。特に、4の蛍光量子収率は0.81であり、フラン環一個で拡張したビオロゲンの蛍光量子収率とほぼ同じであった。3が4より量子収率が低いのは重原紙効果である。即ち3や4の分子の平面性は非常に良いことがわかった。 6.3および4を発光層または電荷輸送層としたEL素子を作製して、青色発光を観察した。現在、素子のタイプをいろいろ変えて発光輝度やEL特性を調べている。 7.1および2にペンタアンミンソルテニウムを作用させて、それぞれからRu錯体5および6を合成し、次いでそれぞれをヨ-ソ酸化してRu(II),Ru(III)混合原子価錯体を生成させ、Ru-リガンド間のCT遷移とRu(II)-Ru(III)のcoupling bandを観察した。現在、スペクトルを解析して、混合原子価間の有効結合定数を求め、リガンドの構造との相関を考察している。
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