研究課題/領域番号 |
07640711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泉岡 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (90193367)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 有機磁性金属 / 高スピン分子 / 強磁性的交換相互作用 / ドナー / ラジカル / 電子授受 / 常磁性共鳴 / 磁性金属 / 基底三重項 / ノトロニルニトロキシド / 電子スピン共鳴 / カチオンラジカル |
研究概要 |
本研究では、磁性分子の高機能化を目指す研究の一環として、電子授受等によりスピン多重度の制御が可能な分子を設計・合成することを目的とした。 研究の第一段階として、中性ラジカルの一電子酸化により基底三重項となる分子種の開拓が必要であるが、そのような分子として、一電子酸化状態で非局在スピンを担うドナー部位と局在スピンを担う安定ラジカル部位を交叉共役系でつないだ一連の開殻ドナー分子を合成した。実際、それらのカチオンジラジカルは、基底三重項種であり、二つのスピン間に強磁性的な交換相互作用が生じていることがESR測定より明らかとなった。またこの系の分子軌道計算は、軌道エネルギーの異なる2つの直交した半占軌道を有すること、及びそれらの軌道はドナー部材とラジカル部の両方に広がりをもつ軌道とラジカル部だけに局在する軌道であることを示し、本系はこれまでにない特異な電子構造を有することが明らかとなった。これらの結果を踏まえ、本研究目的の高機能性開殻ドナーとして、ドナー部としてテトラフェニルフェニレンジアミン、ラジカル部材としてニトロニルニトロキシドから構成される分子を合成した。この開殻ドナーは一電子酸化により基底状態が一重項のラジカルが基底四重項カチオントリラジカルへと変換されることがESR測定より明らかとなった。この結果は電子授受等によりスピン多重度の制御が可能な分子の開拓に成功したことを示すものである。 また本研究で開拓された開殻ドナー分子は、伝導電子が媒介して局在スピン間が磁気的に整列した有機磁性金属や電荷移動相互作用に基づいて有機フェリ磁性体の構成単位となり得、それら新規物性を示す分子性結晶の調製に現在着手している。
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