研究概要 |
1. 4-アミノピリミジン-2-チオン配位子が,Co (III)錯体上でホモ集合して二量化した新規な錯体の合成とそのx線構造解析結果,およびホモ集合の二量化機構を本論文にまとめ,詳細な内容をJ. Chem. Soc., Dalton Trans., 2627 (1995)に発表した. 2.チオバルビツール酸(tbba)と4, 6-ジアミノピリミジン-2-チオン(dapynt)の混合系で,2種類の配位子の組み合わせから生じるヘテロ集合した二量化配位子tbba-dapymtとdapymt-tbbaを含む新規なCo (III)錯体を合成し,構造解析結果を含めた諸性質について明らかにした.これらの結果は,Chem. Lett., 673 (1995)で速報した. 3.数種類のプリンチオン系配位子を含むCo (III)ビス(エチレンジアミン)型錯体を合成した.プリンチオン系配位子ではピリミジン-2-チオン系とは異なり,4員環と5員環のN, S-キレート配位による連結異性体が可能となる.単結晶の構造解析および1H・13C-NMRスペクトルに基づき,これらの錯体の配位様式について解明しJ. Chem. Soc., Dalton Trans., (2), 305 (1996)に発表した. 4.ピリミジン-2-チオン系を含むビス(ピピリジン)Ru (II)錯体を系統的に合成し,その立体化学を同じd^6電子配置のCo (III)ビス(エチレンジアミン)型錯体と比較した.その結果,Ru (II)錯体ではほとんどの系で複数の連結異性体が存在し,その存在比はCH/π相互作用に大きく依存するという興味深い結果が得られ,Chem. Lett., (1), 35 (1996)に速報した.またこの本論分は,CH/π相互作用をもつ異性体のx線構造解析結果と共に,J. Chem. Soc., Dalton Trans., (13), 2851 (1996)に詳細に報告した.
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