研究課題/領域番号 |
07640752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
飯田 雅康 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00107343)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ミセル系 / リオトロピック液晶系 / NMR緩和時間 / 選択的な相互作用 / スペクトル分裂 / 蒸気圧降下測定 / 自己会合 / NMR / 両親媒性金属錯体 / Cobalt-59 / 緩和時間 / 蒸気圧降下 / 臨界ミセル濃度 |
研究概要 |
メゾスコピック系(数ナノメーターから数百ナノメーターの分子集合体の領域)での特徴が顕著に現れるミセルや液晶系(以下、等方相のミセル系をミセルと呼び、異方相のミセル系を(リオトロピック)液晶系と呼ぶ)など高次の組織体溶液中での金属錯体の挙動に着目し、それらをより低次元での(あるいはミクロスコピックな)溶媒和あるいはイオン対生成に関する知見に基づいて論じた。具体的には、ミセルまたは液晶中での金属錯体の特異的相互作用を、主にNMRの緩和時間という動的手法でもって調べた。この手法によって選択的相互作用が浮き彫りにされ、イオン間相互作用あるいはイオン・溶媒相互作用と関連づけて論じることができた。金属媒体としては、選択的な相互作用を起こしやすく、しかも自己会合しやすい両親媒性のものを主に対象とした。一方、両親媒性金属錯体が自己集合してミセルや液晶を形成する過程を同様な手法でもって調べた。ミクロからメゾ領域にわたる相互作用への動的なアプローチが相互作用の特異性を顕著に反映した。NMRは液相の溶質-溶質間または溶質-溶媒間に関するミクロな相互作用を調べる上で最も情報量の多い研究手段の一つと言えるが、ミセル系(すなわち等方相)かまたは液晶系(すなわち異方相)かによって有効なパラメーターは異なる。ミセル系では緩和時間、化学シフト、自己拡散係数が有効であり、液晶系ではスペクトル分裂(双極子相互作用または核四極子相互作用)と化学シフトが有効である。これらのパタメーターはお互いに深く関連しており、著者は単純な電解質溶液系におけるイオン間ならびにイオン-溶媒相互作用で得られるNMRパラメーターとメゾスコピック系におけるNMRパラメーターとをできるだけ連続的に(あるいは統一的に)取り扱ってゆく努力をした。また、両親媒性金属錯体の自己会合を調べるのに本補助金で購入した蒸気圧降下測定装置(VPO)を有力な手段として用いた。この手法は錯体の分子量を調べることによって、試料の純度と会合の程度を同時に推測でき、本研究を遂行するうえで欠くことのできないものであった。
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