研究概要 |
(1)単分散γ-酸化鉄の磁気的性質 単分散性に優れたスピンドル状及び棒状ヘマタイト微粒子を製造し,マグネタイトを経てγ-酸化鉄(マグヘマタイト)に転換し,その磁気的性質と粒子径及び軸比との関係について調べた。抗磁力は軸比3〜4.5のスピンドル状γ-酸化鉄粒子では,長軸4μmで最大を示した。スピンドル状粒子を塩酸で長軸方向のみ溶解させて,軸比を変化させたところほぼ直線的に抗磁力の減少が見られた。酸性条件下で製造したスピンドル状ヘマタイト微粒子から製造したγ-酸化鉄粒子の抗磁力はアルカリ条件下で製造したヘマタイト微粒子から製造したものより大きな値を示した。これは,棒状粒子に比べてスピンドル状粒子の方が磁気的な安定化エネルギーが大きいためと考えられる。 (2)ヘマタイト微粒子分散系の沈降電位の磁場変化 ヘマタイト微粒子分散系の沈降電位が磁場によって変化することを見いだし,その電位の磁場変化について調べた。その結果,磁場によってスピンドル状ヘマタイト微粒子が沈降方向に対して長軸を垂直になるように配向するため液体との摩擦抵抗が増大し,沈降速度が減少するため沈降電位が減少することがわかった。また,この時の沈降電位の変化はLangevin関数を使って表せた。 (3)スピンドル状ヘマタイト微粒子によるループの形成 スピンドル状ヘマタイト微粒子が筏状のルーズな凝集体を形成することは研究者等によって明らかにされていたが,この筏状凝集体が限られた条件下でループ状の凝集体を形成することを新たに見いだしその機構を解明した。
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