研究課題/領域番号 |
07640789
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 類 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (60207256)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ニトロキシドラジカル / 液晶 / キラル / 常磁性 / ニトロ化合物 / ヨウ化サマリウム / ラジカルアニオン / 3電子還元 |
研究概要 |
未だコア中にラジカル部位を含む純粋な常磁性有機液晶物質の合成例はなく、またキラル部位をコア中に含む有機液晶も知られていない。本研究では、最近見出した新しい縮環式α不斉ニトロキシドラジカルの新規合成法(SmI_2による基質の3電子還元と生成するエノラートのO-アシル化の2段階反応)を、キラルなラジカル部位をコア中に含む有機常磁性液晶物質の合成に適用可能か否かを検討した。 1.液晶構造の構築 縮環式α不斉ニトロキシドラジカル部位をコアし、その側鎖に長鎖のアルキル基を導入するため、中間体エノラートのO-アシル化反応の反応条件を検討した。反応溶媒にTHFのみを用いた場合には、O-アシル化の反応性は若干低下するものの、反応時間を長くすることにより目的のO-アシル化生成物を50%程度の収率で得た。一方、THF/HMPAの混合溶媒系を用いた場合には、予想しなかったエノラートのC-アシル化が選択的に起こった。従って、溶媒系を代えることにより生成物の位置選択性が顕著に変わり、このラジカル合成反応の適用範囲がより広がる結果となった。合成したモデル化合物について順次偏光顕微鏡による組織の熱変化を観察しているが、顕著な液晶相の出現には至っていない。多分コア部の分子形に問題があると予想しており、より扁平でより細長い分子の設計と合成を現在行っている。 2.不斉合成反応 上記の合成反応におけるSmI_2による基質の還元反応の機構を、電子スピン共鳴と生成物分析により検討した結果、SmI_2による還元の際に不斉配位子を共存させると、α不斉のニトロキシドラジカルの不斉合成が可能であることが示唆された。そこで、酒石酸やビナフトール由来のキラル配位子を種々合成し、SmI_2による還元反応のに添加したが、予想に反してSmI_2の還元力を低下させる結果となり、目的のニトロキシドラジカルの収率そのものを極端に低下させる結果となった。今後、基質をキラルホスト分子に抱接させ分子錯体とし、これをSmI_2で還元する方法を検討したい。
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