研究概要 |
鎖状モノテルペンアルコールであるcitronellolのG.cingulataによる変換では、主要変換生成物として,California red sacal(柑橘類の害虫)の性フェロモン(3-methyl-6-isopropenyl-9-decen-1-yl acetate)の合成前駆体として知られている 3,7-dimethyl-1,6,7-octanetriolを高収率で得ることに成功した[Nat.Prod.Lett. ,8,303(1996)].次に単環性モノテルペンであるlinalool oxide-pyranoidは同菌体を用いた変換により(3R,6R)体のみがエナンチオ選択的に(3R,6R)-cis-linalool oxide-pyranoid-3-yl-malonateへとエステル化が進行する事によって完全に鏡像体である(3R,6R)体と(3S,6S)体の分離に成功し,そのtrans体も同様に鏡像異性体の分離に成功した[Tetrahedron asymmetry,6,1067(1995)].一方,karahanaenone は高収率(98%)で完全にS体のkarahanaenolのみが生成された[Tetrahedron asymmetry,6,2121(1995)].更に,双環性モノテルペノイドであるcamphorquinoneの変換では,高立体選択的にcamphanediolが生成することを見出した[Phytochemistry,44,79(1997)].(-)-及び(+)-isopinocampheolの同菌体よる変換では,(-)-体と(+)-体で主要変換生成物が異なり,(-)-体では4位へ水酸基が導入されたジオール体,(+)-体では7位へ水酸基が導入されたジオール体が主要変換生成物として得られることを見出し,さらに他の菌体を用いることによる変換様式の違いについても明らかにした[Phytochemistry,in Press].昆虫(ハスモンンヨトウの幼虫)を用いてモノテルペン炭化水素であるα-terpineneの変換を試みたところ,7位のメチル基がカルボン酸にまで酸化されるとこを明らかにした[J.Agric.FoodChem. ,44,2889(1996)]昆中(ハスモンヨトウ)によるテルペノイドの生物変換経路を明らかにしたには本研究が世界最初の例である。
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