研究概要 |
現有設備のポテンショスタット,ロックインアンプ,記録計に平成7年度に認められた水銀電極,送液ポンプ,サンプルインジェクターを用いて,フローインジェクション法を用いる微分容量測定装置を試作した。この水銀電極は精度が良くまた多くのサンプルを測定するのに適している。これに精度のよい送液ポンプとサンプルインジェクターを加えて、現在使用中の装置を大幅に改良することができた。まず陰イオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エ-ロゾルOT)、陽イオン界面活性剤(塩化セチルピリジウム、ハイアミン1622、テトラブチルアンモニウムブロマイド)、非イオン界面活性剤(トリトンX-100、トリオクチルホスフィンオキシド)を用いて、基礎的な検討を行なった。即ちこれらの界面活性剤の微分容量-時間曲線および微分容量-電位曲線を検討することにより、電極での吸着-脱着現象を検討した。その結果陰イオン界面活性剤は、正電位では可逆吸着、零電荷電位近傍では不可逆、より負電位では可逆になることが明らかになった。また陽イオン界面活性剤は吸着の可逆性が高く、非イオン性界面活性剤は不可逆吸着が多いことが明かになった。またニトリル類、ピリジン、キノリンの吸着挙動についても、多くの新しい事実および考察を加えることができた。以上の基礎検討の結果を踏まえて、界面活性物質の分析方法を確立した。基準物質にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを選んだ。四万十川に23ヶ所、仁淀川に21ヶ所、吉野川に11ヶ所の調査定点を設け、界面活性剤を定量し、他のデータ(pH、電導度、重金属(Cu、Pb、Cd、Ni))とも比較して、その実態を調査した。その結果前回調査した値とあまり変化がなかったので、調査した範囲では特に問題はないと考えられる。フローインジェクション法は短時間に多試料の測定ができるので、充分実用に耐えられる方法を確立することができた。
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