研究課題/領域番号 |
07640827
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋元 信一 北海道大学, 農学部, 助教授 (30175161)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | アブラムシ / ゴール / 自然選択 / 量的遺伝 / 相加遺伝分散 / 母性効果 / 芽ぶき / ふ化 / 寄生 / フェノロジー / ハルニレ / 量的遺伝学 |
研究概要 |
寄主植物の多様性に対するゴール形成アブラムシの適応を、寄主の芽吹き時期とアブラムシ卵ふ化時期の同調という観点から調べた。多くのゴール形成アブラムシの寄主であるハルニレには、個体ごとに顕著な芽吹き時期のばらつきが見られた。アブラムシは芽吹きと同調してふ化し、成長中の芽を刺激することによってゴールを形成する。個々の木においては、アブラムシのふ化時期には安定化選択が働いていた。ところが木によって最適ふ化時期が異なるため、寄主集団を通してみると、多様化選択がふ化時期に働いていた。こうした異質な選択圧の下でアブラムシは種によって2通りの適応様式を示した。移動性の乏しいKaltenbachiella japonicaは木からの移動をやめることによって、個別の木に適応をとげ、その結果ふ化時期はそれぞれの寄主木の芽吹きと同調していた。これは木ごとにアブラムシのdemeが形成されたことを意味している。一方、移住性のTetraneura sp.は個別の木に対してdeme形成は見られず、ふ化と寄主の芽吹きの間で非同調がしばしば生じていた。このため、Tetraneuraでは選択的な死亡が頻繁であった。こうした種でふ化時期の遺伝的基盤がどの程度集団中に保持されるかを明らかにするために、半兄弟分析が行われた。Tetraneuraのふ化時期には多くの遺伝分散が保持されていた。このことは、異質な選択圧と各木上での密度効果が結びつくことで、ふ化に関する相加遺伝分散が集団中に保持されることを示唆している。Tetraneura卵のふ化時期には、さらに母性効果が影響していることが明らかにされた。これは、産性虫が、おそらく低栄養下で成長することによって十分大きな卵を作り得なかった際に生じる。こうした小型卵は常に遅れてふ化し、ゴール形成にも高い割合で失敗していた。このように、ゴール形成アブラムシ卵のふ化時期には遺伝分散、母性効果の影響によって大きなばらつきが存在していた。
|