研究概要 |
1.カサノリV-ATPaseについて (1)A及びBサブユニットの遺伝子クローニング:AサブユニットをコードするcDNAクローン(2,169bp,D50528及び2,084bp,D50529)並びにBサブユニットのクローン2種類(1,666bp,D50530及び2,084bp,D50531)を得た。いずれも,これまでに報告されているV-ATPase,A及びBサブユニットに高い相同性を示すが,5′及び3′非翻訳領域並びにcodon usageの異なるものであった。small multigene familyの存在を示唆する結果である。発現の目的に使用できるrecombinantをそれぞれ作成した。 (2)proteolipid(C)サブユニットの遺伝子クローニング:cDNAクローニングの結果,6種類のクローンを得た。翻訳されるアミノ酸配列はいずれもV-ATPase,Cサブユニットとして報告されている配列に高い相同性を示すものであった。この6種類のクローンのアミノ酸配列は,2つのfamilyに分類され,発現量からは4つのfamilyに分類された。発現の目的に使用できるrecombinantをそれぞれ作成した。 2.カサノリH^+-PPaseについて (1)H^+-PPaseの遺伝子クローニング:5′-及び3′-RACE法により,3,104bpのほぼ全長のcDNAクローンを得た。これは,721アミノ酸をコードし,既報の高等植物PPaseに対しては約50%の相同性を示すにすぎなかった。R.rubrumPPaseにより高い相同性を示し,本酵素の分子進化及び機能部位の解析に貴重な情報をもたらす。酵母発見ベクターへの連結を完了し,発現実験の準備ができた段階にある。
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