研究課題/領域番号 |
07640897
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
本川 達雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (80092352)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | キャッチ結合組織 / 棘皮動物 / ウミユリ / ウニ / 歯 |
研究概要 |
キャッチ結合組織がウミユリの巻枝靱帯およびウニの歯根膜に存在することを明らかにした。 ウミユリの巻枝の電子顕微鏡による観察の結果、巻枝靱帯はコラーゲン性の結合組織でできており、靱帯にもその他の部分にも、力を発生しそうな細胞は観察されなかった。靱帯の振動試験を行い、靱帯の硬さを測定した。硬さは電気刺激によって軟らかくなった。また高濃度にカリウムイオンを含む人工海水やアセチルコリンの投与によっても硬さは顕著に減少した。軟らかくなった靱帯は、しばらく海水中におくことにより、また硬さを回復した。これらの結果は、巻枝靱帯がキャッチ結合組織であることを示している。ウミユリは巻枝のキャッチ結合組織を硬くすることにより、体を海底の基盤上に保持していると考えられる。 ウニの歯は顎の骨に歯根膜と呼ばれる結合組織で結びつけられている。歯根膜の電子顕微鏡による観察の結果、歯根膜はコラーゲン性の結合組織でできており、歯根膜にもその近くの歯や顎の内部にも、力を発生しそうな細胞は観察されなかった。歯根膜のクリープ試験を行った結果、歯根膜は高濃度にカリウムイオンを含む人工海水やアセチルコリンの投与によって軟らかくなった。軟らかくなった靱帯は、しばらく海水で洗浄することにより、また硬さを回復した。これらの結果は、歯根膜がキャッチ結合組であることを示している。ウニの歯は先端部が磨耗する。歯には後端部で炭酸カルシウムが付け足される。そのため、歯は先端部に向かって移動する必要がある。この移動の際、歯根膜は軟らかくなって移動を可能にし、摂食時には歯根膜は硬くなって歯を骨にしっかりと繋いでいるものと思われる。 このようにキャッチ結合組織は棘皮動物の体全体の姿勢の保持のみならず、体の部分同士の可逆的な結合にも働いていることが明らかになった。
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