研究概要 |
我々はこれまで卵黄蛋白質の分解に関わっているシステインプロテアーゼ(BCP)が前駆体として卵内に大量に蓄積していることを発見し精製に成功した。本酵素は、ババインスーバーファミリーに属する酵素で、カイコ卵巣中に不活性な前駆体として蓄積しており発生を開始すると直ちに活性化をうけ卵黄蛋白の分解をおこなう。未受精卵、休眠卵においては不活性型のまま存在し、卵黄蛋白の分解を行うことはない。これらの結果はBCPの不活性型活性型への変換が卵黄蛋白分解のひきがねになっていることを示唆している。我々はこれまで酵素化学的な面からBCPにとりくんできた。これまでに1)BCPの諸性質、2)一次構造、cDNAの塩基配列、3)活性下機構の解明、4)特異的阻外剤、Deletion Analysis等をもちいてプロペプチドの約割、5)NMRi、などを用いた立体構造の解明(現在Prof.M.Bownes,University of Edinburgh,UK.と共同研究が進行中)に取り組んできた。cDNAプローブを用いたノ-サンブロット解析および培養実験の結果より、BCPは雌蛹脂肪体および卵濾胞細胞において合成され、血液を経由して卵巣に蓄積することがあきらかにされた。これはBCPが新しいタイプの卵黄蛋白であることをしめしている。ほぼ同時にRaikhel(Michigan State University,USA)も蚊において、同様の現象をみいだした。これらの研究は下記の国際シンポジウムに招待され講演された。Vitellogenesis,XXth Int.Cong.Entomol.Firenze,Italy,1996 ; 7th Int.Cong.Invert.Reprod.& Develop.,Santa Cruz,USA,1995.
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