研究課題/領域番号 |
07640913
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小松 明 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80075423)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Drosophila melanogaster / 同定細胞 / Kチャネル / 中腸細胞 / パッチクランプ法 / 単一チャネル電流 |
研究概要 |
Drosophila melanogasterの野生型(Canton-S)の3令幼虫の中腸をリンゲル液中で解剖、摘出、切開して細胞を取り出した後、1mg/mlのCollagenaseを含むリンゲル液中に1時間室温で放置し、130mM KCl溶液で洗浄して、中腸細胞膜由来のベシクルを形成した。溶液は130mM KClを基準とし、K^+濃度を減らす場合はNaClで置換した。パッチ電極の抵抗は5-15megaohm、シール抵抗は5-20gigaohmであった。gigaohmseal形成後、inside-out patchにし、単一チャネル電流を記録した。記録はList社のパッチクランプアンプEPC-7を用い、ディジタルテープにストア後、サーマルアレイレコーダーで記録紙に描記、解析した。 記録された単一チャネル電流は2種類あった。両者とも電圧非感受性のイオンチャネルであった。1種類は稀にしか記録されなかったので、主に記録されたイオンチャネルの性質について述べる。生体に近いイオン環境条件(2.5mM Ko/130mM Ki)では、単一チャネル電流は外向き電流とした記録され、右上がりの電圧-電流曲線(I-Vカーブ)を示した。OmVでの単一チャネル電流は1.8±0.4pA(平均±標準偏差、以下同様、n=15)、単一チャネルコンダクタンスは47.4±13.2pS(n=14)であった。また、この条件では、50mV〜+50mVの範囲では反転電位は得られなかった。細胞内外が130mK K^+の対称的な条件ではI-Vカーブは0をよぎる直線となり、単一チャネルコンダクタンスは88.1±12.0pS(n=10)であった。この値はDrosophila幼虫筋細胞のCa^<++>感受性K^+チャネルの単一チャネルコンダクタンス(83±12pS)に近い値である。しかし、Ca^<++>感受性K^+チャネルがflickering burst様の活動を示して開確率が大きいのに対して、このチャネルの開確率は小さかった。さらに、65mM Ko/130mM Kiの条件で反転電位を求めたところ、13.4±3.3mV(n=12)であり、この値からNa^+とK^+のイオン透過比を計算するとPNa/PK=0.18となった。即ち、K^+に対する透過性がNa^+に比べ、約5倍高く、K^+に対する選択性の高いことが分かった。さらに、2.5mM Ko/130mM Kiの条件下で、K^+チャネルに対する選択的遮断剤であるテトラエチルアンモニウム(TEA)を細胞内膜側に与えたところ、50mM TEAで0mVでの単一チャネル電流がコントロールの50%と減少した。一方、もうひとつの種類の単一チャネル電流は2.5mM Ko/130mM Kiの条件下では0mVで1.1±0.3pA(n=3)と、先述のイオンチャネルよりも小さかった。 なお、胚中枢神経系のグリア細胞と成虫背板剛毛の機会感覚受容ニューロンについては現在引き続き研究中である。
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