研究概要 |
従来から多くの稀少種が報告されているにもかかわらず、分類学的に著しい混乱か見られる日本産の浅海性カジカ科魚類を対象として系統分類学的な研究を行った。本研究では北海道周辺および本州各地の浅海域での現地調査で採集したカジカ科魚類の標本に加えて、国内外の大学、博物館、水産研究所など諸研究機関に所蔵されている模式標本を含むカジカ科魚類の標本を用いて、観察、形態計測等の分類学的解析を行ったに用いた。本研究の過程で新たに確認されたオホーツクソコカジカ Z‐esticelus ochotensis Yabe,1995、およびチゴコオリカジカ Ice‐lus econis Tsutsui et Yabe,1996を新種として原記載を行い学会誌に発表した。本研究期間に得られた新たな知見を基に、日本周辺海域に生息するカジカ科魚類の全て属を網羅した分類検索表を新たに作成し提示した。さらに、分類学的に著しい混乱があったオニカジカ属、ヨコスジカジカ属、コオリカジカ属、マツカジカ属、オットセイカジカ属、ホホウロコカジカ属、キリカジカ属、イダテンカジカ属、アナハゼ属、サラサカジカ属、ベロ属、ツマグロカジカ属、イトヒキカジカ属、オホーツクツノカジカ属およびフサカジカ属の15属25種の浅海性カジカ科魚類を再記載するとともに、類似種との比較を基にシノニム関係の検討を行い、各種の新たな分類標徴および種検索表を提示し報告書としてまとめた。
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