研究概要 |
単細胞性緑藻のなかで自生胞子を形成するクロレラ目(Bold&Wynne1978)12種と、それに近縁で遊走子を形成するクラミドモナス目3種、ヨツメモ目2種、クロロコックム目6種、クロロサルシナ目8種、ケ-トフォラ目1種、ケ-トペルチス1種、計33種の18SrDNAの塩基配列を決定し分子系統解析をおこなった。その結果は次のとおりである。 1.クロレラ目は多系統で、緑藻網で鞭毛装置が時計回り型と直線型、トレボウキシア藻網の3つにわかれるが、大部分はトレボウキシア藻網にはいる。 2.2本鞭毛の遊走子をもつ単細胞性緑藻は大きくみてTetracystis clade, Dunaliella clade, Volvox cladeに別れた。クロロサルシナ目のtetrad形成藻はすべてTetracystis cladeに入り、sarcinoid形成藻とは異なった系統になった。Dunaliells cladeには主に細胞壁がないもの、薄いものなどが分布し、Volvox cladeには細胞壁が厚いものが含まれているようだが、まだ確実なことは言えない。 3.細胞壁がなく4本鞭毛の遊泳細胞をもつ緑藻の解析から、細胞壁の獲得は異なる系統で何度も起こったこと、ケ-トフォラ目とケ-トペチルス目は系統が離れていることなどがわかり、新目Oltmannsiellopsidalesを提案した。 4.海水産のクロロコックム目、Neochloris sp. は形態的・分子的にアオサ網ヒビミドロ目に属することがわかり、Pseudoneochloris malinaとして新属新種記載することになった。 5.海水産のクロロサルシナ目、Chlorosarcinopsis halophilaは形態的・分子的にアオサ網ヒビミドロ目に属することがわかり、新属を提案することになった。 6.海水産の自生胞子形成緑藻で海底に固着生活をし、寒天質につつまれるヨツメモ亜目のPalmophyllumは緑藻のなかで最もプラシノ藻網と近縁らしい。
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