研究概要 |
1946-1965年出生の日米混血児の身長,体重,胸囲,下肢長の追跡測定値を解析した.全149名の成長折線を描き,厳密なデータ・チェックの後,10年以上追跡調査できた88名に対し各項目のスプライン平滑化成長曲線を描き,成長速度曲線と思春期スパートのパラメータを求めた.そして,149名のデータセットは混合縦断解析,88名のデータセットは縦断解析の対象とした. 黒人系混血児と白人系混血児の比較(縦断研究)身長は女では黒人系が高く,男では17歳までは黒人系が,その後は白人系が高い.体重は男女ともに低年齢では白人系が重く,その後は逆転する.胸囲は女では9歳までは白人系が太いが,男では黒人系が常に太い.下肢は男女とも黒人系が長いが,17,18歳以後差は縮小あるいは逆転する。胸囲以外のパラメータ出現年齢はともに女が男より2,3年早い.白人系女のこれらのスパートは非常に強い.ピーク年齢は下肢長,身長,体重,胸囲の順で,女では最後に初経年齢がくる. 日米混血児と両親集団(日本人および米人)の比較(混合縦断研究)混血児の身長曲線は,男女とも低年齢時には日本人の曲線に近いが,その後黒人系は米黒人の,白人系は米白人の曲線に近づく.黒人系の体重は米黒人の曲線と一致して増加するが,白人系の体重は日本人の曲線に近づく.胸囲は低年齢では男女とも日本人と一致して推移するが,その後急増する.混血児の身長に対する下肢の相対的な長さは,全年齢を通して米人より短い. 混血児女子と日本人女子の比較(縦断研究)Take-off時身長は混血児が低いが,ピーク時身長は同じであった.初経時身長は日本人,白人系,黒人系の順である.体重スパート,Take-off時とピーク時胸囲は混血児が大きい.初経時胸囲は日本人と黒人系はほぼ同じであるが,白人系はより太い. 白人系混血児とヨーロッパ人の身長成長の比較(縦断研究)男女ともに混血児はスパート開始とピークが早いが,すべてのパラメータ出現時の身長は低い.Take-off時身長の男女差は混血児で大きい.
|