研究課題/領域番号 |
07650017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
岸野 正剛 姫路工業大学, 工学部, 教授 (50201455)
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研究分担者 |
松田 哲郎 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (10047582)
吉田 晴彦 姫路工業大学, 工学部, 助手 (90264837)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 近接効果 / ホッピング伝導 / 局在準位 |
研究概要 |
本研究では長距離近接効果の発生機構を解明する目的で、LCMO(La_<0.7> Ca_<0.3>MnO_2)膜の200K以下の低温における電気伝導特性を検討し以下の結果を得た。LCMO膜は高温超伝導体YBCO(YB_2Cu_3O_<7-x>)膜で作られるS-I-S接合のI層に使われる薄膜である。この三層接合に流れる電流については、超伝導電流であるかホッピング伝導であるかについて議論がある。この問題を解決するにはLCMO膜の低温における伝導機構を調べることが必要である。 LCMO膜にホッピング電流が流れるかどうかを確かめるために、本検討では、この膜の伝導機構を、従来から使用されている抵抗率の温度依存性の測定の他に、DCTS(Discharging Current Transient Spectroscopy)法を使って検討した。DCTS法は本来絶縁膜の局在準位を測定する方法であるが、我々はこの検討の中でDCTS法で得られる過渡電流特性が、LCMO膜の性質に依存して変化することを見いだした。すなわち、LCMO膜が温度の低下によって金属的な性質からホッピング伝導性、ホッピング伝導性から絶縁性に変化するときに、過渡特性にそれぞれ特有な図形(性質)が現れることを見いだした。また、この特性の変化は従来の抵抗率の温度依存性から得られる結果と定性的に一致することと、さらに、この過渡特性の方がホッピング伝導の起こる温度領域を正しく決定できることも判明した。 以上の測定によってスパッタリング法で成膜したLCMO膜は35K以下では完全な絶縁膜になり、ホッピング伝導は起こらないことが判明した。しかし、レーザアブレーション膜ではホッピング伝導が観察された。ホッピング伝導が議論されている三層構造ではスパッタリング膜が使われているので、ホッピング伝導による解釈は妥当でないと結論されるが、LCMO膜の膜質によってはホッピング伝導の可能性を完全に否定することはできないことも明らかになった。本研究の結果は長距離近接効果の解釈に有益な情報を与えるものと考えられる。
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