研究課題/領域番号 |
07650019
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
白鳥 世明 (謝 世明) 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00222042)
|
研究分担者 |
池崎 和男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50051462)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | エレクトロクロミズム / ポリピロール / 劣化 / 密度 / エレクトロクロミックディスプレイ(ECD) / ディスプレイ / ポリビニルアルコール / 固体型素子 / エレクトロクロミック ディスプレイ(ECD) / 導電性高分子 / ピロール / 薄膜 / モルフォロジー |
研究概要 |
平成7年度はPPy膜の電解重合中の成長過程を、我々が構築したCCD顕微鏡システムを用いて観察した。その結果、エタノール溶液中における良好な製膜条件を見出した。次に、PPy単独膜の電気化学的特性の評価を行った。具体的には、密度勾配菅及び、ソースメジャーユニットを用いて、ド-ピング/脱ド-ピングの繰り返し回数の増加に伴う膜の密度、及び導電率を測定した。導電率は膜を作製後、空気中にて四探針法にて行った。その結果、PPy単独膜繰り返しの電圧印加に伴い、膜の密度は1.328から1.520まで上昇し、他方、膜の導電率は低下することがわかった。平成8年度は、電気化学AFMを用いてド-ピング/脱ド-ピングにともなう膜表面の微細構造の変化の様子を溶液中でその場観察した。その結果、電圧印加に伴い、膜は一旦隆起、膨張し、次に収縮することが明らかになった。光学顕微鏡、及び電気化学AFMを用いた観察と、この密度測定及び導電率測定から、「PPy膜の劣化は繰り返しの電圧印加による膜の収縮に起因する」、という我々の仮説を強く裏付ける有力な証拠を得ることが出来た。 一方、本研究で作成したPPy/PVA複合膜の方はPPy単独膜に比較して密度、及び導電率は究めて安定していた。そこで、ITO基坂上に作製したこの複合膜を用いて、固体型ECDを試作した。その結果、20万回以上のド-ピング/脱ド-ピングの繰り返しに耐え、ディスプレイとして実用化の可能性が高いことが初めて示された。上述の結果から、本研究で我々が考案したPPy/PVA複合膜は、多孔性のポリマーがこうしたPPy膜の収縮を機械的に妨げる役割を果たしているといえる。さらに、(1)複合膜をからPVA層を除去したPPy膜の耐久性はPPy単独膜よりもはるかに長いこと、(2)しかもPPy単独膜に後からPVA層を接合した試料は色変化を示すものの耐久性に劣る、という二つの実験事実から、成長した膜の高次構造、微細構造自体がPPy膜のエレクトロクロミズム現象の劣化を大きく左右するものと結論づけられた。
|