研究概要 |
本研究では、3次元の光閉じ込め用球共振器(直径数10μm-数100μm)を使用し、レーザー光励起により、(ア)発光の空間的分布パターン、(イ)発光スペクトル特性、および(ウ)発光の入力強度依存性と時間変化特性などを主として検討した。1.パルス紫外N_2レーザー(波長λ=337nm,出力3kW,及びこのレーザー励起による波長可変色素レーザー)を使用し、色素あるいはキレートドープ微小球を用いて、固体球との表面吸着損失の立場から理論的実験的に行った(固体及び液滴球低しきい値キレートレーザーの実現、Appl.Phys.Lett.、応用物理学会講演会など)。2.パルスNd:YAGレーザーの第2高調波光(532nm)励起により、(1)液滴球共振器のQ-値を変化させた波長シフトの特性把握を詳細に行った(Opt.Lett.,Appl.Phys.Lett.など)。 (2)さらに、ナノ微粒子散乱体の液滴小球内への導入により、(1)における波長シフトの現象の特性補完を実施すると共に、本来レーザー動作しない微小液滴球からのレーザー動作を、明確なしきい値を持って達成するなど、世界に先駆けた新しい知見を得ることができた(Opt.Lett.掲載決定)。(3)ナノ微粒子散乱体の種類や混合濃度及び色素の種類や濃度についてのより詳細な特性把握のための検討を行い、種々の色素や散乱体に応用可能な新技術であることを確信できた(投稿中、応用物理学会講演会など発表予定)。(4)以上の先駆的新知見に基づき、生体抽出色素からの微弱発光信号を、高感度検出する技術を確立すべく挑戦を続けている(未投稿、基本的に冒頭の(ア)、(イ)、(ウ)の特性把握から揺るぎ無いデータ取得を勢力的に行っている)。3.購入設備のArイオンレーザー光励起により、1.、2.における詳細なデータ補完と動作機構の究明のために、誘導ラマン散乱のしきい値付近における自然放出光と誘導放出光に関するダイナミクスを検討した。2.に関連して、高散乱体を含むラマン活性微小球からの先駆的新知見として、連続波誘導ラマン散乱を確認している(現在も特性の詳細な検討を進めている)。
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