研究概要 |
航空,宇宙機器の先端構造材料として,繊維強化金属FRM(あるいは金属系複合材料MMC)が開発され,実用化されている.本研究ではMMCの高温における強度特性を明らかにするために,理論解析と実験により介在物のマイクロメカニックスに関する研究を行い,以下の結果を得た. 1.無限弾性体に楕円体状介在物と円環状き裂が存在し、引張荷重を受ける場合を考え,まず内部に空かあるいは円形き裂をもつ偏平回転楕円体介在物が無限体に存在し,1軸引張重をうける場合を解いた.介在物は完全接着と境界にすべりを許した場合を解析した.焦点間距離の半分c=1とし,空かをもつ介在物の厚さdを1/100とすると介在物の繊維補強効果は殆ど無いが,厚さを1/20とすると介在物の繊維補強効果は顕著にあらわれる.介在物を円環き裂をすれば目的の結果が得られるか研究を続行中である. 2.MMCの熱応力の問題として,偏長回転楕円体状介在物あるいは空かをもつ厚板の上面の一定領域を加熱,下面の一定領域を冷却する場合の定常熱応力問題を熱弾性理論に基づいて厳密に解析し,応力分布,変位分布に及ぼす加熱領域の大きさ,介在物の大きさ,形状比,横弾性係数比の影響を求めた.さらに,アイソパラメトリック2次要素を用いた境界要素法により楕円介在物の解析を行い,理論と良く合うことを確認した.すべりを許した場合のプログラムも作成中である。 3.板厚の異なる(25mm,15mm,3mm)Ti-6A1-4V合金について破壊靱性試験を行い,超音波法およびAE法を用いて板厚中央部の破壊開始荷重を測定する方法を開発し,従来手法(ASTM-E399)と比較検討した.その結果,超音波法やAEを用いれば板厚に関わらず板厚中央部の破壊開始荷重を測定可能であることが明らかとなった.特に板厚の薄い場合,延性引裂き破壊進行時の平坦破壊とせん断破壊の進展挙動を明らかにした.
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