研究概要 |
低温構造物の重要性が高まってきているが,低温構造物の構造材料が実際受けるような繰返し変形の実験は極めて少ない。 本研究では、まず低温繰返し塑性変形の実験を引張、圧縮、ねじりの負荷状態で行い、繰返し塑性変形に及ぼす負荷方向、繰返し数、繰返しひずみ幅、予変形の影響を実験的に系統的に調べた. 実験は液体窒素で冷却した薄肉円筒試験片に引っ張り、圧縮、ねじりの荷重、さらにそれらの組み合わせを加えた複合荷重を加えて行った。試験片に生ずるひずみの測定は新たに開発した液体窒素中でも計測可能な格子法によって行った。 1.負荷方向が変化しない繰り返し負荷では,応力-ひずみ曲線のヒステリシス曲線の最大値は,負荷の繰り返しとともに増加する.その増加量は室温の場合より顕著である. 2.負荷の繰り返し途中で負荷方向を変化させると,負荷方向を変化させない場合に比べて,サイクル数が同じであっても繰り返し応力-ひずみ曲線のヒステリシス曲線の硬化量が異なる. 3.ねじり負荷の繰り返しでは,引張方向へひずみが累積するラッチェト現象が観察された. 4.ねじり方向に繰り返し予変形を与えた後,引張の繰り返し負荷を与えると,繰り返しの応力-ひずみ曲線のヒステリシスループが遷移する. 5.クリープ予変形は塑性変形に塑性ひずみと同じ硬化効果を持っている. 6.繰り返し負荷による硬化過程は累積塑性ひずみをパラメタとして定式化できた.
|