研究概要 |
熱応力の解析法とその応用については,すでに膨大な研究が行われて有益な知見が蓄積している.しかし,単一材料からなる構造物中の非連成熱弾性問題に関する研究成果が圧倒的に多い.最近では,電子デバイス等に代表される異材接合構造中の熱応力や異材界面き裂の特異熱応力場の解析が重要な研究課題になっている.衝撃熱負荷を受けるこの種の熱応力問題では,温度場と変位場の連成効果をより精密にモデル化した連成熱弾性問題の高精度解析が必要不可欠である.連成熱弾性問題の数値解析法の研究開発が活発に行われているが,まだ捗々しい成果が得られていない.本研究は,この衝撃連成熱弾性問題に境界要素法を適用し,新しい解析法を構築した.すなわち,本研究では,(1)ラプラス変換を用いる解法,(2)時間ステップ近似を用いる解法,(3)時間・空間境界積分方程式による解法について,効率的で高精度な境界要素解析法を開発した.新しく開発した解析プログラムを用いていくつかの例題の数値計算を行い,解析法の有効性について検討した.その研究成果を著名な学術雑誌に投稿し,あるものは既に掲載され,また残りは印刷中であり,高い評価を得ることが出来た.世界的にみて,この種の研究に成功したという報告は極めて少なく,境界要素法による成功例は本研究が初めてであるといえる. 解析法を開発を示すための数値計算は3次元の簡単な例題について実施したに過ぎないので,目下3次元の実用問題への適用と,電子デバイスをイメージした異材接合モデルの熱変形シミュレーションを行って,研究成果をまとめているところである.
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